谷口進一 市長候補予定者

1 [林業]
■長らく国産材の消費が低迷し経営が成り立たないために森林所有者の整備が行き届かず、山が荒廃しています。山地崩壊による災害の頻発も間伐などの適正な森林管理が行われていないことが原因とも言われています。特に、森林のウェイトが大きく市域の75%に及ぶ丹波市にあっては、この森林を、生産の場、憩いの場、そして防災の砦として、行政と関係者が一体となって保全・活用を進めていく必要があります。
■このため、今後は環境保全と県民緑税を活用した森林整備、林道の整備、大型作業機械の導入、木材流通センターの活用、国産材の利用促進策による川上から川下に至る需要喚起策、みんなで森に入り森を守ろうという市民運動「木の駅プロジェクト」「木質バイオマス」の進展など、眠れる森林資源の活用にそれぞれが取り組んでいくことが重要と考えます。
2 [農業]
■農業を取り巻く環境は、担い手不足、高齢化、鳥獣被害等で厳しさを増しています。
さらに丹波市では、兼業農家が80%を超え全国平均よりも零細農家が多いのが特徴です。
今後の地域農業の将来像を示す「人・農地プラン」の策定と推進など、農業経営の効率化、や担い手の確保により耕作放棄地の増加に歯止めをかけることが必須です。
■一方、丹波市としては、市島町が発祥ともいえる有機農業をはじめとする環境創造型農業による高付加価値化あるいは、生産者が加工・流通にまで手を広げる「6次産業化」さらには「農産物の海外輸出」にも挑戦してみるべきと考えます。
(篠山市は「台北国際見本市2016」に出品参加)
3[商工業]
■「都会に近い田舎」と言われる丹波市は、都市近郊の交通の要衝に位置し、豊かな自然環境と穏やかな気候、そして温和な人情から、環境にやさしい産業や暮らしを展開するための最適地であると言えます。特に、2019年の新病院オープンを契機に、既存産業との連携を視野に置きながら、医療・介護サービス、医薬品、健康食品、介護用品など「健康長寿」を目指した関連産業の集積が期待できます。
■農商工連携により、丹波ブランドを活用した高付加価値加工商品の開発・流通など6次産業化の動きが加速されつつあります。春日町野上野で自治会が中心となった株式会社の活動はその代表例です。実現のためには業種間の枠を超えた交流・連携がカギになります。
■「若者・女性がチャレンジできるまち」をキャッチフレーズにスモールビジネスの起業を応援することが必須です。「丹波市では働き方改革が進んだ企業が育ちつつあり、女性や若者が多様で柔軟な働き方をしている」というイメージが作り上げていければ、企業と人材の集積も見込めるのではないでしょうか。
■丹波市の地域経済を担っている中小、小規模事業者の健全な経営を持続、発展できるよう、関連団体との連携を強化していきます。
4[観光]
■国の目標では、外国人観光客を2020年までに倍増(2000→4000万人)させようとしており、その目的が爆買いから徐々に地域再発見等にシフトしようとしています。この波は、大都市部のみならず確実に丹波市にも波及してくるものと予想されます。
■中心市街地活性化法の認定を受けた柏原は、多くの歴史的建造物が現存し、物語を今に伝える城下町の落ち着いた佇まいがあります。
「歴史を大切に」を合言葉に、今後は丹波市観光協会とも協議を重ねつつ、柏原支所をオール丹波の観光拠点として活用し、丹波を訪れた人々が市内全域を回遊していただけるような観光・文化の発信ができる仕組みを早急に構築する必要があると考えます。
■丹波市ならではの歴史的大発見である「丹波竜」について、「恐竜化石発掘10年」を契機に、例えば山南庁舎を活用するなど丹波竜をテーマとした地域おこしの拠点づくりにも傾注すべきではと考えます。
■仕事場・作業風景を見せる「産業観光」ツアー(酒造、丹波布、稲畑人形など)を地域で企画・アピールすることにより、商業・観光の融合と連携が進むものと期待します。
5 [行政]
■基礎的自治体としての市の役割・責務は、対応の範囲が一層広がり、一方では民間のセンスとノウハウの導入が不可欠になっています。限られた人員の中で、高度化、多様化するニーズに的確、迅速に対応できる体制と人材の確保、そして、行政としていかに考え、どう動こうとしているのか、市民の理解と共感がベースになると考えます。
市役所が、誇りと夢をもてる職場として、職員一人ひとりの意識改革を進める必要があります。
■キーワードは「企業経営の視点」。民間企業では必須の「マーケッティング」は「顧客(市民)が真に求める商品やサービスを提供するための経営戦略」この感覚を職員も養う必要があります。そのためには現場に出かけ見聞を広めること。商工会、農業団体、JC、金融機関など異業種の方々等との交流・意見交換を通じ「市民ファースト」のスタンスで職務に臨みます。
■「新しいまちづくりへの情熱、安全・安心への責任感、的確な判断力」が市民の皆様から強く期待されていると痛感します。
6.これから直面する赤字財政への対応をどのようにお考えでしょうか?
■国から交付される地方交付税は市の一般会計のうちの約3割を占めますが、合併後10年が経過する平成27年度から31年度までの5年間で、合併の特例加算措置が段階的に縮小します。行政需要が増える中で、さらなる行政改革、経費削減が求められます。
■これまで努力してきた職員数の削減も新たな仕事の発生で限界にきていると思われます。
行政改革アクションプログラムの中で、大規模事業(病院関連、庁舎、道路橋梁の長寿命化など)の優先順位付け、実施時期の平準化などを慎重に見極めるとともに、個別具体の事業についても適切に見直す必要があると考えます。
7 [議会]
■常に「前向き・建設的」な意見が積み上がることを期待します。
「旧町意識が弊害になっている」と言われますが、よい意味での旧町意識は持つべきです。即ち6町はそれぞれの特徴・誇りを認識し、各々の立場で「丹波市全体の発展のため、我が町・地域は何ができるのか?」を問い続けることが肝要です。
■「6個の真珠のネックレス」のイメージで常に協働と連帯の視点での議論を望みます。
酒造、有機野菜、薬草、スカイスポーツ、ひめホタル、御仏の里など「みんなちがって、みんないい。」
8.自分が丹波市議、市長となるにふさわしい思う理由をお聞かせください。
■兵庫県庁で41年間、観光、企業誘致、国際交流、地域開発、地方公営企業、現場での総合的地域振興、農林水産、第3セクター経営など幅広い分野と様々な立場で経験を積ませていただきました。
日本の縮図と言われる兵庫県、その中で但馬~淡路島まで勤務し、外から見る丹波市には大きな可能性、換言すると「伸びしろ」があると思いました。
これまでの貴重な経験・人脈・ネットワークを、生まれ育った故郷・丹波市での地域創生の取り組みに活かしたい、と決意した次第です。
 
9 [教育]
■「子どもたちに確かな学力を」丹波市の大きな命題、一人ひとりが「わかった!」と実感できる授業の工夫が必要です。
そのためにはニーズに応えられる人的配置「学生スクールサポーター」「地域スクールサポーター」が有効です。学力の向上に伴い「丹波で子育てを!!」の流れができます。
■「特色ある学校づくりの推進」として、故郷・丹波市を誇りに思い愛する心を育むための「ふるさと学習」に地域の助力を得ていきます。故郷に「愛と誇りを」持つ子供たちは、必ず将来、故郷を「かけがえのないもの」として愛おしく思い出すはずです。
10 [労働環境]
■皆それぞれの勤労意欲と職業能力、そして若者や女性、高齢者等のライフステージに応じた多様な就労の場と働きやすい職場環境が確保されていることが最重要です。
■近年、雇用の有効求人倍率は好転していますが、「働いてくれる人が足りない」「働きたい場所が無い」という求人と求職のミスマッチは解消しません。地域で頑張る企業を、求職者やその親たちがまず知ることが大切です。そこで、ふるさと企業の紹介や見学、プレゼンの機会づくり、地元の高校生等が参加するインターンシップ(研修生として一定期間就業体験)などが考えられます。
■具体の解決策の一つとして「廃校利用」がひとつのポイントと考えます。
「丹波市地域創生戦略」に掲げる「時間・場所の制約のない働き方」いわゆる「テレワーク」を進めるための企業誘致の推進、あるいは教育の場づくりとしての「たんばIT塾」の開設などが考えられます。この推進には地域だけのアイデア出しでは限界があり、民間企業などに幅広く働きかけ・投げかけを行い、具体化していくことが重要と考えます。
■雇用の質=働き方の問題も重要な課題です。それぞれのライフステージに応じた多様な働き方、仕事と生活の調和を図るワーク・ライフ・バランスの推進を関係機関、企業とともに進めていく必要があります。
11 [暮らし]
■「都会に近い田舎」という言葉に表されるように「都会・田舎の両方の生活をハイブリッド(良いとこ取り)に体験できる地域」を広くアピールし、移住者と交流人口を増加させる取り組みが重要と考えます。
■全国的に通用する「丹波ブランド」や「丹波ならではの有機農業」を目指して、現在も若者の農業参入がみられます。「地方移住」を希望する若者が増える傾向にあり「丹波らしさ」に一層磨きをかけ、雇用の場の創出と子育て環境の整備を進めながら、若者・女性を呼び込みます。
12 [環境]
■20年先を考えれば「女性・若者活躍社会の実現」が急務です。
男女共同参画条例の制定により、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮できる「男女共同参画社会の実現」の意識づけを図る必要があります。
■その活動拠点として、子育てや介護などの講義、女性の企業などを支援する「男女共同参画センター」を整備すべきと考えます。
■丹波市に移住してきたIターン者が悩みを共有でき住み続けられるよう交流の場をつくります。
■「都会に近い田舎」ということは、田舎特有の環境を生かしつつ、都会と遜色ない生活環境条件を確保するということでもあります。ここでは個々に触れませんが、生活の基礎となる道路、水道、鉄道、その他の生活利便施設についても、積年の課題を踏まえながら総合的、効果的に取り組んでいくことが重要であると認識しています。
13 [健康]
■政策目標として「丹波市民・健康活躍90歳」を掲げています。老いも若きもスポーツを通じた健康保持による医療費の低減には重大な関心をもちたいものです。
また健康体操の普及で介護予防を市民ムーブメントにします。
■今後の超高齢社会では、介護予防に携わる健康運動指導のほか、住民の手助け、住民同士の助け合いなど、運動指導以外の分野のアドバイス、住民主体の介護予防の仕組みづくりが重要です。
■明智光秀の「丹波攻め」物語にあるように、山城が多く点在しています。黒井城は有名ですが「丹波山城20選」グリーンツーリズムの踏破イベントを地域づくり、健康づくりに生かしては如何でしょうか。
14 [医療]
■市民の安全・安心を支えるため、平成31年春にオープンする新病院には大いに期待します。新病院の開設は、丹波市の地方創生の視点からも画期的なことと認識しています。
医療と介護の切れ目ない連携を実現するための地域包括ケアシステムのモデル展開例としても全国発信したいものです。
■現状では、市民は丹波市域外で受診する例が多く、将来の病院経営問題が懸念されます。地域を支える病院として守っていくためにも、県立病院跡地には総合福祉拠点の形成が図れないものかと考えています。そのことで交流人口の増加、さらには関連の企業誘致につなげていくことが期待できると考えます。
15 [福祉]
■「2025年問題」に象徴されるように、団塊の世代の方々が後期高齢者に達する時期には、医療・介護の需要は確実に増えていく一方で、家庭の介護力は低下します。
県立病院と、丹波市が隣接して整備する地域医療総合支援センターとはハイブリッド施設群として一体的に運営されます。即ち急性期から在宅支援を含む福祉・保健分野まで切れ目のない医療サービス、医療と介護の調整をワンストップで提供する丹波モデルが確立されることを期待します。
■障がい者の働く場を確保するために有効な特例子会社の設立等を域内企業に働きかけていくことも必要ではないかと考えます。
16 [まちづくり]
■コミュニティ間の相互交流で「丹(まごころ)の合併」が実現すること。
依然として残る旧町意識の壁を取り除くためには、お互いの地域を知る・学ぶことが先ずは第一歩です。
よって、25自治協議会における相互交流の仕組みとして、各地の行事、ユニークな取り組みなどの「発表大会」の開催、FM805の活用による交流などを提案します。
これによって人口減少下で進む「無縁社会」を脱し「有縁社会」を実現します。
17 [文化]
■「丹波市ならでは」の特徴を際立たせた文化振興の取り組みを持続させること。
「丹波の森構想」から30年。丹波の森をウィーンの森に倣って、多くのイベントが開催されています。丹波の森国際音楽祭「シューベルティアーゼたんば」や「丹波市展」は市外からも多くのファンが集まります。
■丹波市の一体感を醸成するため、市全体を挙げて取り組む市民参加のイベント展開が有効と考えます。
■柳宗悦氏が発掘した「丹波布」、素朴な味わい「稲畑人形」など地域の誇りを「丹波市のお宝百選」として「集め・磨き・発信」していく工夫が必要です。
■「丹波市検定」を創設し、当地を学ぶ機会を持ちましょう。実に多くの名勝、偉人、食文化等々があることに気づきます。
18 [災害]
■市民の生命・財産を守る「安全・安心」は行政の役割として最大のものです。
国・県の支援も得ながら最優先で取り組みます。
■「丹波に学べ!」と仰ったのは丹波市復興プラン策定委員会委員長の室崎益輝氏。
自治会組織を中心とする地域コミュニティの結束で避難行動要支援者への対応が素早く、被害を最小限度に抑えたことは大いに評価、注目されるべきです。
■市島豪雨災害では、ハードの整備は進んでいますが、生活再建に関しては課題が残されていると認識しています。
19 [交通]
■10月11日、青垣での意見交換会の際の質疑。
「将来はコンパクトシティを目指すのか?それとも小規模多機能自治か?」
丹波市は、小規模多機能自治を基本として、住み慣れたところで住み続け、一定のサービスは市の中心部に集約し、その間を公共交通網を充実させる、いう方向性を「丹波市住生活基本計画」(28年3月策定)の中で示しています。
〇「10年後の住生活の展望」として ⇒ 【どこでも安心して住めるようになりました】
「・・・・公共サービス等を居住地に関係なく享受できるよう、10年前に比べて公共交通網が充実されています・・・」の記述。
広大な市域を擁する丹波市であり、今後とも検討すべき重要な課題であると認識しています。
■JR福知山線の複線化、利便性向上(コウノトリ号 1時間⇒30分に1本)のための働き掛けを継続していくことが必要です。
20 [質問]
現在の丹波市の最優先課題は何だとお考えでしょうか?
■丹波市民の中から「故郷・丹波市に自信と誇りを持つことができていない人が多い」と聞くのは、とても悲しいことです。
この閉塞感を払拭するために、平成31年(2019年)を目標に丹波のお宝・・・「自然景観」「伝統文化」「農産物と食」「芸術活動」などを「集め、磨き、繋ぐ」、それを世界に向けて「丹波市ファン」を呼び込む「公民協働のキャンペーン」を展開したいものです。
■その中では、「おもてなしコンシェルジュ」「首都圏でのPR拠点」「観光大使の任命」「〇〇民泊」など市民からのたくさんの提案を盛り込み、楽しみながら計画を練り上げる過程も大切です。こういった動きの中で、人口減少への歯止めの知恵も生まれるはず。
■2019年は丹波市にとって節目の年です!!
合併した新病院のオープン ②丹波市合併15周年 ③市島豪雨災害から5年
④人が大きく動く東京オリンピックの前年
⇒これを契機に人口減少に歯止めをかけましょう。
21 丹波市と県、国の関係をどのようにお考えでしょうか?
■地方自治において最も重要な概念は「住民自治」、地方行政が住民の意思によって処理されること。その際に、市民参加の度合いがその地域の民度(生活・文化の成熟度)を測る目安となります。
◎Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.
(J.F.Kennedy)の名言 
⇒ 「国(市)が自分に何をしてくれるのか」を問うのではなく 自分が国(市)に何ができるのかを問うべきだ。
■人口減少下において「地方創生」の大号令のもと、医療制度、住宅政策など、国の動向等を注視し、国・県が提示する多くの支援メニューを効果的に活用しながら、地域づくりに邁進したいと考えます。そしてその際には、特に県との緊密なネットワークのもと、適時適切に情報・ノウハウを得るとともに、丹波市からの主体的な発信、提案に努めていくことが肝要であると考えます。
以上